Ares Design S1 - 2020
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モデル説明
Ares S1:100万ドルの変貌か、それともコルベットにカジュアルをまとうだけか?
Ares S1は、自動車業界に際立った問いを投げかけている:これはハイパーマシンへの真の100万ドル級の変貌なのか、それともコルベットのシャーシに巧みにカスタムされた、息をのむようなオートモービル・クチュールの傑作なのか?Ares S1を生み出したのは、イタリアのカーボディメーカーであるAres Modena。同社はモデナの「モーターバレー」を拠点とし、伝統的な職人技と現代技術を融合させたオーダーメイドの高級車を生産することを目的としている。元ロータスCEOのダニ・バハールが設立した同社は、既存のプラットフォームを基にしたユニークなカークリエイションに特化している。
S1プロジェクトの初期目標は、ハイパーマシンの美観とスーパーカーの性能、スポーツカーの手頃さを融合させることだった。しかし「スポーツカー価格」という野心は大きく変化し、後に価格は100万ユーロを超え、ハイパーマシンの領域へと突入。その価値提案に対する疑問がさらに高まった。
S1の中心にはC8チェボレット・コルベットのプラットフォームが存在する——アルミニウム製シャシー、6.2リットルV8エンジン、8速DCT、マグネティックライドコントロールのサスペンションはすべてそのまま流用されている。これは信頼性の高いエンジニアリングを提供する一方で、デザインの可能性を制限し、大衆向け車両の基盤をもとにした7桁の価格を正当化するという課題を浮き彫りにしている。
外観的には、S1は劇的な変貌を遂げている。低く構えたカーボンファイバー製ボディはル・マン・プロトタイプを彷彿とさせ、巻き込むようなフロントガラス、特徴的なトップエキゾースト、オプションのガルウィングドアを備えている。Aresは広範な空力設計を主張しているが、デザインが学生のプロジェクトと類似しているという批判が起き、独自性に影を落としている。このオーダーメイドの外観こそが「クチュール」の側面を体現している。
内装では、Aresがナッパレザー、アルカンターラ、カーボンファイバーといった高級素材を用い、C8と比べてより洗練された高級感のあるダッシュボードを再設計している。しかし、後方視界がほぼ不存在であることや、一部のコルベット由来のスイッチ類が残っていることから、「完全な変貌」という印象はやや薄れる。S1はクーペとオープントップのスピードスター/スパイダーの両方で提供される。
技術面では、コルベットV8用のカスタム排気系とECUチューニング以外にも、多くの疑問が残されている。初期には700馬力以上と主張されていた出力は、後にストックのレッドラインで530〜600馬力程度に下方修正された。重要なのは、カーボンボディによる大幅な軽量化にもかかわらず、サスペンションのチューニングは、より重いC8とほぼ変わらないと報告されていることだ。限定的な試乗では、ハンドリングが損なわれている——硬めの乗り心地と鈍感なステアリング——という意見が挙がっており、この「変貌」は主に外観上のものであり、動的洗練を犠牲にしている可能性を示唆している。
生産台数は厳密に制限されており(報告によるとクーペ24台、スパイダー24台)、ハイファッションに求められる希少性を確保している。当初の価格推定(約50万ユーロ)は急騰し、100万ドル級のマシンとしての地位を確立した。
結局のところ、Ares S1は、馴染みのあるアメリカンスポーツカーを劇的なイタリアンデザインで包み込む、カーボディビルダーの雄大な野心の証である。それが真の変貌であり、100万ドルの価格を正当化するのか、それとも本質的には優雅なクチュールを纏ったコルベットにすぎないのか——それは、購入者が動的洗練やエンジニアリングの独自性よりも、劇的な美観と希少性を重視するか否かにかかっている。





