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モデル説明
アロン酸印刷(アロンプリン)は、ネガから作られる写真印刷の一種で、感光材料を固定する接着剤として、卵白(特に卵白成分であるアロン)を用いる。19世紀に特に1850年代から1890年代にかけて、主流の写真プロセスとして広く用いられた。
アロン酸印刷のプロセスは、卵白と塩を混ぜた溶液をペーパーに塗布してから、乾燥させることで始まる。塗布が乾いたら、硝酸銀を含む溶液に浸すことによって感光処理を行う。この感光紙をネガを通して光に当てる作業により、潜在画像が形成される。
露光後、開発液(通常、ガリック酸またはピロガロール酸)を使用して現像を行う。これにより、露出した銀塩が金属銀に変化する。その後、未露出の銀塩を除去する固定処理を行い、画像を安定かつ永久的に保持する。
アロン酸印刷は、濃淡の範囲が広く、鮮明で細部まで精巧な描写が可能とされている。卵白を接着剤として用いるため、表面はつやがあり、感光材料をしっかり保持する効果があり、画像の明瞭さと輪郭の定まりを高める。
見た目に関しては、アロン酸印刷は暖色調が特徴で、褐色、セピア、または紫調のトーンを呈することが多い。このプロセスは19世紀にポートレート写真や風景、建築、ドキュメンタリー写真など、多岐にわたる分野で広く用いられた。
アロン酸印刷は写真史において重要な役割を果たし、後の写真プロセスの原型となった。現代では、その歴史的価値と独自の美意識による魅力が評価され、写真の黎明期や当時の芸術的表現を垣間見せる重要な資料として、高く評価されている。


















